クオンツファンド理論に関する基礎知識を、ここでまとめておきます。
クオンツファンドとは、定量指標(1つでも複数でもかまわない)に基づいて銘柄の魅力度を判断して銘柄選択、機械的に運用するファンドのことを指します。
したがって、クオンツファンドの成否は、どのような定量指標を採用して、それらの定量指標をどのように組み合わせるかにかかっている、と言っても過言ではありません。ここでは、簡単な事例として、PER(株価収益率)という単一の定量指標で説明します。
PERとは、「時価総額÷当期利益」で定義される定量指標です。
このPERの数値の大小で銘柄の魅力度を測ることが出来ると仮説を立てて、それが正しいかどうかを検証することが、クオンツファンド組成のための第一歩です。
教科書的な説明によると、PERが低い銘柄のほうがPERが高い銘柄に比べて、割安であるといわれていますので、それを仮説の第一歩とします。
実際には、企業の成長率や事業リスクを加味した上でそうした判断ができるのですが、それはさておき、ここでは、「PERが低いほど魅力的である」という仮説を立てておきます。割安であるということは、長期的に見てPERが低い銘柄が高いリターンであってほしいところです。
つまり、
低PER銘柄は高PER銘柄よりも高リターン
という構図になっていれば、仮説は正しいのではないかと判断できることになります。そう判断するためには、以下のようなプロセスを踏みます。
STEP1:上場全銘柄(あるいは、東証1部全銘柄といった、可能な限り多くの銘柄群)に対してPERを算出する。
STEP2:上記で算出されたPERの大小に応じて、いくつかのグループに作成してそのグループ全体のリターンを算出する。
STEP3:グループ全体のリターンが、統計学的な尺度(平均値や中央値など)から見て、PERの大小に優位性があるかどうかを確認する。
つまり、
十分な銘柄分散を行うことを前提とした場合、PERという定量指標が投資の基本方針になるかどうかが知りたい
というのが、ここでの目的です。
そして、実際にそうなっているかどうかを、さまざまな定量指標に対して見ていくというのが、このクオンツファンド理論の趣旨となります。
最後に。
クオンツファンド理論での有効性の基準は、数十から数百の銘柄グループ単位で行われますが、そのグループの作成方法は、分析対象となる銘柄を5個のグループ(5分位という)もしくは10個のグループ(10分位という)にするということが多いです。
例えば、分析対象となる銘柄数が2000銘柄で、採用する定量指標がPERだとした場合、5分位の場合、以下のようにグループ化されます。
こうした銘柄グループのパフォーマンスを算出し、その結果が、
第1分位>第2分位>第3分位>第4分位>第5分位
となっていれば、理想的であるということになります。もちろん、時期によっては、そうなっていない場合もあるかもしれません。短期的に起こる気まぐれな株価変動もあるからです。
しかし、長期的に見てこのような傾向があるならば、それは利用する価値があるのではないかと判断するのが、クオンツファンド理論における有効性の判断基準です。