個人投資家はどのようにクオンツファンド理論を利用すれば良いでしょうか?
その前に、クオンツファンド理論がなぜ個人投資家にあまり浸透してこなかったのか?その理由について考えてみたいと思います。
クオンツファンド理論が個人投資家にあまり浸透してこなかった理由として、主に以下の2つが考えられます。
【資金量の問題】
クオンツファンド理論の大前提として、十分な銘柄分散を挙げました。つまり、クオンツファンド理論を実践するためには、ある程度まとまった資金を持っていて、その資金で数十から数百の銘柄を保有できることが本来的には必要になります。
文献によってグループとする銘柄数は異なりますが、例えば、ジェームズ・P・オショーネシーの「ウオール街で勝つ法則」では、50銘柄でのグループに基づいたパフォーマンスが示されていますので、それに則ってみます。50銘柄保有しなければクオンツファンド理論の恩恵をあずかれないとしたとき、最低売買単位の問題から、1銘柄に投資するために必要な資金が50万円必要だとすると、クオンツファンドの組成に
50万円×50銘柄 = 2500万円
の資金が必要だということになります。2500万円となると、誰もが持っている金額であるとは言えません。
このように、クオンツファンド理論を忠実に実行するためには、こうした資金面での参入障壁が発生します。他の投資手法に比べて、個人投資家向けの文献が少ないのも当然です。【検証環境の問題】
仮に、クオンツファンド理論をある程度忠実に実行できる資金を持っていたとしても、次に、検証環境の問題があります。
つまり、どの定量指標が良いのかを自分で検証するための環境を整備するために、非常にコストがかかるのです。例えば、PERという定量指標が有効であるかどうかを検証するためには、上場全銘柄について、以下のようなデータが必要になります。(ここでは、3・6・9・12月末という3ヶ月に1度の頻度でリバランスすることを考えます。)
修正係数とは、個別銘柄のリターンを計算するために必要なデータです。例えば、9月末の修正係数が1で、9月末から12月末の間に、1⇒2の分割を行った場合、12月末時点の修正係数は2となります。
これらのデータが揃って初めて上場全銘柄のPERと3ヶ月間のリターンを計算することが可能となり、
となります。
検証作業を行うということは、ある程度の期間の過去データを持っていなければなりませんから、個人投資家レベルで、このような分析環境を整えるのは至難の業です。
上記の事例ではPERについて説明しましたが、検証作業を行いたいのは、PERだけではありません。そうなると、上場全銘柄の財務データと株価データをかなり保有しなければ使い物になりません。
実際のところ、株価データはともかく、財務データを購入するのは非常にコストがかかります。機関投資家でもない限り、分析環境を構築するためのコストに見合うリターンを稼ぐことはできないでしょう。このような現状の中、個人投資家がクオンツファンド理論をどのように利用すれば良いかを、次で考えてみたいと思います。