個人投資家がクオンツファンド理論を適用するにあたって、「資金量の問題」「検証環境の問題」というハードルにぶち当たることを説明しました。
これらのハードルをどう克服してクオンツファンド理論の恩恵を受ければ良いかを、ここで説明したいと思います。資金量の問題の解決方法は既にせつめいしましたので、次に、検証環境の問題に対する解決方法を示します。
【文献のバックテスト結果を引用する】
本来的には、システムトレードというのは、自分自身の手でバックテストを行うべきです。クオンツファンド理論もそうです。
しかし、個別銘柄のシステムトレードのバックテスト、とりわけ、ファンダメンタルズ指標が絡んだバックテストというのは、個人投資家レベルではなかなか難しいのが現実です。上場全銘柄の株価データや財務データを取得してそれらをデータベース化することはもちろんのこと、データの加工やリターンの計算もかなり難しいからです。実際、機関投資家の世界においても、検証環境の整備に多くのシステムと人材を投入しています。
したがって、個人投資家がクオンツファンド理論を検証するための環境を整備するということは、コスト/リターンの割に合わないというのが正直なところです。
信用できる文献のバックテスト結果を引用するというのが現実的な選択肢ではないかと思います。
個人投資家でも比較的容易に入手できる文献については、クオンツファンド理論に関する文献で紹介しましたので、それらの文献を基にして、どのような定量指標が統計的に優位性があるかを見るのです。
【簡易的な銘柄選択方法に徹する】
クオンツファンド理論関連の文献によっては、難解な統計学的手法を数多く施してモデルを作っていることがよくあります。
学術的な文献なので、科学的に妥当と思われる統計学的手法を施して検証作業をするというマナーがあるためにそうしていることが多いのですが、個人投資家がクオンツファンド理論を利用するにあたっては、それを過度に気にする必要はありません。
実際には、回帰分析という統計学的手法を使って複数の定量指標のウエイト付けを行っていることが多いのですが、これを施したところで、実際のパフォーマンスが激変するわけではありません。
統計学的手法が高度であるかどうかよりも、採用されている定量指標が有効であるかどうかのほうが遥かに重要なわけですから。
したがって、個人投資家の場合、基本的には、単一で有効だと判断できる定量指標をピックアップして、もし複数の定量指標を考慮する際には、簡易的に総合的判断を下すということで十分です。
簡易的に総合判断を下すというのは、指標ごとにランキングをつけてその合計で判断するとか、あるいは、特定の指標を優先してその指標で判断したときに同レベルである場合には、他の指標も加味する、ということです。
個人投資家の場合、資金面の問題から、どのみちモデルポートフォリオを完全に再現することは絶対に不可能ですから、精緻な分析にこだわりすぎることに大きな意味はありません。
それよりも、軸とする定量指標を何にするかということと、どのようなプロセスで銘柄を絞り込むか、というプロセスを明確にしておくほうが重要です。