ここでは、割安株投資を実践するために必要な、「企業価値を知るための手掛かり」について触れたいと思います。
企業価値を知るための手掛かりは、株式投資の入門書にも書かれてある「株主の権利」から導き出すことが出来ます。そこで、もう一度、「株主の権利」をおさらいしておきます。
【株主の権利】
(1)利益配当分配権・・・将来得られる純利益を受け取る権利
(2)残余財産分配権・・・事業を清算した後に残る純資産を受け取る権利
(3)議決権・・・経営に関する重要事項を決定するための投票権
【残余財産分配権と企業価値】
企業価値を知るための手掛かりとなる最初の方法は、事業の清算を前提とした場合の企業価値算出方法です。つまり、残余財産分配権に着目した企業価値の算出です。
これは、現時点で企業が保有している純資産(総資産−総負債)を基に企業価値を推定する方法で、「純資産額法」と呼ばれています。【利益配当分配権と企業価値】
しかし、よほどのことがない限り、企業というのは事業を継続することを前提としております。上場企業となると、なおのこと、そう言えます。
事業を継続するということは、企業は事業活動を通じて収益を生み出し、そして、必要に応じて配当として払い出さなければ意味がありません。
そのため、事業の継続を前提とした場合の企業価値というのは将来の収益力に依存します。つまり、利益配当分配権に着目した企業価値算出方法となります。もちろん、将来のことですから、不確実なことが数多く含まれており、それを完全に把握することは不可能ですが、一定の前提条件を設けることで企業価値を推定することになります。この推定方法は、「収益還元法」と呼ばれています。
【議決権と企業価値】
会社法(旧商法)上における議決権が、残余財産分配権と利益配当分配権をを担保していることについて、簡単に触れたいと思います。
議決権とは、経営に関する重要事項を決定するための投票権です。これは、現状の経営者の経営政策や資本政策に賛同できるかどうかを、所有者である株主が投票できることを意味します。
つまり、経営者が現在保有している資産を有効活用していない、あるいは、問題がある経営の意思決定を行っていると株主が判断したならば、株主はそれに反対することが出来ることになっています。
そのような議決権行使により、株主利益が最大限になるような経営者を選択したり、場合によっては、事業清算(残余財産分配権を議決権で勝ち取る)や増配(利益配当分配権を議決権で勝ち取る)という意思決定に持ち込むことが出来るのです。
もちろん、現実の話をすると、このような議決権が効率的に行使されることは、なかなか期待できるものではなく、そのために、残余財産分配権や利益配当分配権を行使したいと考える株主がいたとしても、それが叶わないこともしばしばです。