純資産額法とは何か?ここでは、それについて書いてみます。
純資産額法とは、事業の清算を前提とした場合の企業価値算出方法です。より具体的には、以下のような状況を考えたとき、企業価値はいくらになるかという問題になります。
【事業の清算を前提とした企業価値算出】
ある企業Aが事業を清算すると決議したとします。
A社が事業を清算すると、A社の株主には残余財産分配権がありますから、様々な法的な手続きを経て、いくらかの金額を受け取ることが出来ます。(もちろん、債務超過だと、受け取れない。)
そこで、
「いまA社が事業を清算すれば、A社の株主が受け取れる金額はいくらになりそうか?」
というのが、ここでの課題です。A社は今すぐに事業を清算することになっているので、A社の企業価値を考えるにあたっては、A社の将来の収益力は考慮しません。
したがって、A社が現在保有している資産と負債がどのくらいあって、それらはどのくらいの換金価値があるのかという点に、大いに興味があります。
以上が、純資産額法による企業価値算出の大前提です。
実際には、企業は事業を継続することを前提に活動していますし、上場企業であれば、上記のようなケースは非常に稀な話です。
したがって、純資産額法による企業価値算出は、企業価値の一つの側面であり、これだけで株式投資を行うことは不十分あるのは言うまでもありません。
だからといって、このような分析が全くの無意味であるかというと、そうではありません。なぜならば、残余財産分配権が議決権で担保されているからです。
純資産に対して株価が安ければ、株式市場からその企業の株式を大量に買い付けることで、残余財産分配権を狙いにくる外部株主が出てくる可能性は常にあります。
あるいは、そうした外部株主から身を守るために、増配や自社株買いという形で経営者側が自主的に残余財産の一部を株主に還元する動きを見せる可能性もあるからです。