ここでは、実在する上場企業の貸借対照表を使って説明します。。
以下は、「7933 日本ファイリング」という企業の平成17年3月期の貸借対照表です。(平成18年3月期の決算広告情報がWEB上に更新されていなかったため、前年度の貸借対照表を使用。)
| <資産の部> | <負債・少数株主持分・資本> | ||
| 【流動資産】 現金及び預金 受取手形及び売掛金 有価証券 たな卸資産 繰延税金資産 その他 貸倒引当金 |
9,184,131 2,929,485 4,040,226 1,437,969 769,245 3,153 69,982 ▲65,930 |
【流動負債】 支払手形及び買掛金 未払法人税等 繰延税金負債 賞与引当金 その他 |
3,142,791 2,712,942 66,224 846 77,800 284,977 |
| 【有形固定資産】 建物及び構築物 機械装置及び運搬具 工具器具及び備品 土地 建設仮勘定 |
2,365,887 322,625 342,049 62,436 1,621,921 16,853 |
【固定負債】 退職給付引当金 繰延税金負債 再評価繰延税金負債 その他 |
1,762,358 1,061,450 181,622 505,453 13,831 |
| 【無形固定資産】 | 57,243 | 【少数株主持分】 | 1,342 |
| 【投資その他資産】 投資有価証券 長期性預金 その他 貸倒引当金 |
4,065,911 3,339,955 500,000 247,234 ▲21,278 |
【資本】 資本金 資本剰余金 利益剰余金 土地再評価差額金 株式等評価差額金 自己株式 |
10,766,681 3,570,000 4,398,060 2,363,794 207,005 234,091 ▲6,269 |
| 資産合計 | 15,673,174 | 負債、少数株主持分、 資本合計 |
15,673,174 |
上記の貸借対照表は一般投資家に向けて公表されているものであり、当然ながら、事業の清算を前提とした貸借対照表(清算貸借対照表)ではありません。
したがって、清算価値を算出するためには、清算貸借対照表に修正する必要があります。
各勘定科目の換金価値が再評価されて、清算価値が算出されます。資産によっては、専門家の査定が不可欠なものもありますが、ここでは保守的に算出することによって清算価値の目安を求めることにします。
ざっくりと清算価値を算出するにあたっては、以下のような特徴を踏まえると良いかもしれません。【流動資産】
固定資産に比べて、換金性の高い資産が多いです。また、固定資産に比べて、貸借対照表の数値と実際の換金価値とが、あまり大きく乖離していないという特徴もあります。
【有形固定資産・無形固定資産】
流動資産に比べて、換金性の低い資産が多いです。また、流動資産に比べて、貸借対照表の数値と実際の換金価値とか、大きく乖離しているという特徴もあります。
【投資その他資産】
長期の投資がここに属します。貸借対照表の数値と換金価値との乖離の度合いは、これらの資産が時価評価されているかどうかにかかっています。
【負債】
負債とは企業が負うべき経済的負担のことで、貸借対照表上では、流動資産は比較的早い期間で追うべき負担、固定負債とは比較的遅い期間となっています。ただし、ここでは事業をせいさんすることを前提としますので、全ての負債が清算されると考えます。
【少数株主持分】
連結決算において出てくる勘定科目です。ここでは、「この企業の持ち物ではない部分」と考えておけば十分でしょう。
ここでは、以下のような修正を施すことによって、清算価値を算出しました。
清算価値の算出にあたっては、
貸借対照表表記額 × 評価掛け目 = 換金価値
資産の換金価値合計 − 負債・少数株主持分の換金価値合計 = 清算価値
という計算を行っております。
上記から、清算価値は、70億3508万円であると算出されました。
これに対して、株価(時価総額)はどうでしょうか?以下は、2006年9月末時点における時価総額は、3,345百万円でした。(YAHOOファイナンスより。)
この結果から、「7933 日本ファイリング」の場合、清算価値に対して株価が割安であることを確認することが出来ました。
実際に投資するに値するかどうかは、他の要素も考慮しなければなりませんが、少なくとも、清算価値という視点では割安ではないかと判断できそうです。
日本ファイリングの清算価値を算出するためのワークシートを、エクセルファイル形式でダウンロードできるようにしました。
PBRが低く、純資産に対して株価が割安に見える企業を見つけた際には、同じような手順を踏むことで、清算価値を算出することができるはずです。
清算価値算出ワークシート.xls